明治25年、慈恵に耳鼻咽喉科教室が開設されて120年あまりが経ちました。
つねに、その先にあるレベルを目指し続ける。それが、日本でもっとも歴史のある、
慈恵の耳鼻咽喉科教室の役割です。
「臨床の慈恵」と称される本学の中にあって、わが教室は、まさにそのスローガンを地で行く教室だと言えます。病床数65床、年間手術数1800件以上、関連病院は附属医院を含めて19施設。規模の面から見ても、水準という視点から見ても、圧倒的な臨床力を誇るのがこの教室です。本院の外来には、平均して1日250人もの患者さんが訪れます。一般外来のほかに、10の専門外来を設置し、腫瘍、鼻・副鼻腔、中耳、難聴、アレルギー、音声、めまい、睡眠時無呼吸症など、耳鼻咽喉科学のすべてを網羅しています。
つねに最新の、つねに最高レベルの医療技術を、現場で提供し続けることが宿命づけられた本医局にとって、不可欠なのは言うまでもなく人材です。現在120名近くにもおよぶ医局員は、そうした志を持った、世界水準のプロフェッショナル集団でもあります。
大学病院は治療機関でもある一方、研究機関でもあります。数多くの症例をあつかえるということは、その分、臨床研究の水準をあげることにもつながります。また、臨床を支えるための基礎研究にも注力しています。国内外の研究施設や教育機関への派遣・留学を通じて、つねに鮮度の高い技術や情報が、この教室に届きます。このような、高度な研究をリードしていくのも、本医局の大きな役割のひとつです。
この教室をたとえるなら、耳鼻咽喉科学の「デパート」。それを、さらに「高級ブランド」のような存在に育ててゆくのが教授としての私の使命だと思っています。