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当科では、多岐にわたる耳鼻咽喉科疾患の中で、疾患ごとに専門外来を設け診療・検査を行うとともに、各研究班による臨床に即したさまざまな研究活動を活発に行っております。

各研究班の研究内容をご紹介いたします。

耳 科

慢性中耳炎班

中耳真珠腫の成因(進展メカニズム)解明と治療法について

  • 表皮細胞の増殖,分化,細胞死について
  • 鼓膜上皮のmigrationの機序の解明
  • 遺伝子解析
  • 真珠腫上皮の進展を抑制する遺伝子導入,DDS の開発
  • 真珠腫の保存的治療の開発
  • 疫学調査
  • データベースを利用した手術・治療データの解析

中耳真珠腫,癒着性中耳炎の手術法に関する研究

  • 術式の検討
  • 粘膜の再生医学
  • バーチャルリアリティを用いた安全な最新手術法の開発

滲出性中耳炎班

  • 滲出性中耳炎や慢性中耳炎,中耳真珠腫等の含気蜂巣抑制の成因について
  • 抑制された含気蜂巣例での炎症病態の解明
  • 含気蜂巣の抑制された中耳の治療方法
  • 中耳含気腔におけるガス換気と中耳炎症病態との関係の解明
  • 中耳含気腔圧と滲出性中耳炎の予後の検討
  • 急性中耳炎と起因菌の薬剤耐性について
  • 成人滲出性中耳炎の発症原因と病態解明についての検討

耳管班

  • 耳管開放症の病態及び治療法に関する研究
  • 中耳真珠腫、鼓膜癒着症における耳管機能および中耳病態の解明
  • 中耳炎が誘因となる耳管開放症についての検討
  • 中耳真珠腫における耳管の画像解析とその有用性
  • n-CPAP施行時の耳管開閉能に関する検討

神経耳科班

内耳に関連する神経の病態を基礎的実験から臨床応用まで幅広く研究を行っています。
宇宙開発事業団や航空医学研究センターとの共同研究などにも携わり、宇宙酔いや動揺病の研究、空間識失調の機序解明の研究を詳細に行ってきました。 現在は、メニエール病の発症とその環境因子、それらに対する抗不安剤やセロトニン作動系薬剤の効果を検証しています。 また超短時間型、短時間型の睡眠導入剤服用によるふらつきを、静的・動的平衡機能検査を用いて検証し、その結果について逐次報告を行なっているところです。 また、3次元足圧解析装置を世界で初めて完成させ、健常人の平衡機能を詳細に研究し始めたところです。


難聴班

全身疾患(現在は特に小児科から依頼を受けた代謝疾患が主)に伴う難聴症例の検討、人工内耳手術症例の検討など、臨床と関連づけた検討を行っています。また、信州大学が中心になって行っている「難聴の遺伝子解析と臨床応用」の共同研究に参加するなど精力的に活動しています。


鼻 科

鼻副鼻腔班

1980年代より鼻副鼻腔手術に対して内視鏡を導入した本邦での草分け的存在として、以前一般的に行われていた歯茎や眉毛の一部を切開する鼻根治手術とは異なり、鼻の本来持っている機能を温存した低侵襲の手術を行っています。慢性副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、副鼻腔嚢胞(術後性上顎のう胞含む)、副鼻腔真菌症、アレルギー性真菌性副鼻腔炎は元より、鼻副鼻腔乳頭腫などの易再発性の副鼻腔腫瘍や2015年に難病に指定された好酸球性副鼻腔炎に対しても積極的に手術を行っています。手術件数は年間1000件に上り、ナビゲーションシステムや4Kモニターなど最新機器を使用することで、重症例や再手術例などの難治例であっても、安全かつ的確に手術を行っています。また、難治性副鼻腔炎である好酸球性副鼻腔炎に対しては、分子標的薬であるデュピルマブも導入しました。気管支喘息合併している方は、内科とともに、包括的に診察しています。


アレルギー研究班

1965年よりアレルギー専門外来を開き、これまでにアレルギー性鼻炎の発症に関する研究や数多くの疫学調査を実施してきました。専門外来では、アレルギー性鼻炎の原因物質である抗原の同定と副鼻腔炎など合併症の有無を正確に診断し、アレルギー専門医としての生活指導、薬物療法に加え、免疫療法を適応に応じて導入します。また、難治性の免疫応答の異常を伴なう好酸球性副鼻腔炎に対する免疫療法として、生物学的製剤の適応やその効果判定を行なっています。

近年は国際的にも独創的な、スギ花粉症に対する遺伝子組み換え米である「スギ花粉ペプチド含有米」の開発を、国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構と共同で行なってきました。T細胞を標的としたペプチドワクチンであり、実用化を目指して開発に取り組んでいます。

アレルギー疾患は、総合的な免疫応答の異常から派生する疾患です。食物アレルギー、気管支喘息にアトピー性皮膚炎など、診療科の枠を超えてアレルギー疾患を全人的に診療できる「Total Allergist」の育成・輩出を目指して指導を行なっており、包括的なアレルギー診療を心がけています。


鼻中隔外鼻領域

鼻の機能と形態は表裏一体であり、鼻閉を改善させるための鼻中隔手術は一つではありません。当院では、鼻中隔から外鼻まで含めて鼻閉の原因部位を判断し、様々な手法で治療をしています。2018年には形成外科と合同の 鼻中隔外鼻センター を開設し、より質の高い医療を目指しています。


嗅覚領域

日本でも数少ない嗅覚専門外来にて、嗅覚に関するあらゆる疾患の診療と研究を行っています。2009年に開設して10年経ち、年間約300名、これまでに2000人を超える患者さんの診療にあたりました。嗅覚障害の主な原因として、好酸球性副鼻腔炎を含む鼻副鼻腔疾患や感冒後、外傷性などが挙げられます。中には薬による副作用や頭の病気、心の病気が隠れていることもあります。基準嗅力検査や静脈性嗅覚検査に加えて、問診と自覚症状のアンケートと嗅覚同定能の検査を用いて嗅覚機能の評価をしっかり行い、副鼻腔CTや鼻内視鏡検査にて診断を行っています。また、患者さんそれぞれの病態とニーズに合った治療法を選び、手術・保存的治療(漢方薬を含む)、点鼻方法などを含めた生活指導を丁寧に行っています。主な研究としては、「小児嗅覚検査の開発」と「次世代拡散テンソルイメージングを用いた匂いの地図の可視化:他覚的嗅覚検査の開発」を始め、海外も含め、他施設との共同研究にも積極的に取り組んで嗅覚診療の発展に寄与しています。


鼻腔腫瘍・頭蓋底疾患領域

鼻腔悪性腫瘍、頭蓋底腫瘍に対しては、頭頸部腫瘍班や脳神経外科とチームで取り組み、内視鏡で摘出出来るものは積極的に内視鏡下で低侵襲に行い、外切開が必要な場合は開頭や顔面皮膚切開によるアプローチで内視鏡も併用しながら摘出することで、より確実にそして効果的な切除を目指しております。2018年4月より2020年3月までの2年間で非常に数の少ない鼻腔癌の一つである嗅神経芽腫を31例をはじめとし、扁平上皮癌・腺癌・悪性黒色腫など内視鏡を用いて頭蓋底を切除した52例を含め計72例を執刀しております。頭蓋底を切除する手術であっても、耳鼻科と脳神経外科が合同で行うことによって低侵襲な手術を提供できることから、多くの方が1週間前後での退院が可能となります。内反性乳頭腫・眼窩内腫瘍・若年性血管繊維腫・髄膜脳瘤・骨種などの良性腫瘍症例に関しては59例行っております。

当院で行なっている世界有数の卓越した手術件数を生かし、Superior Lateral Anterior Pedicle flap (SLAP FLAP)法、Trans-septal Access with Crossing multiple Incisions (TACMI)法、Tri-port approach法、Direct Approach to Lateral wall of Maxillary sinus(DALMA)法、Palat-inferior turbinate flap法、Endoscopic Modified Medial Maxillectomy(EMMM)法など数々の新規手術方法を開発し、鼻副鼻腔腫瘍に対して鼻の正常な機能を残したまま、より低侵襲で再発を防ぎ手術を行うことが出来るように力を入れております。


頭頸部腫瘍

頭頸部腫瘍班

根治性を保ちながら、可能な限りの機能温存を目指した治療を実践し、治療成績の向上に努めています。年間手術件数は悪性腫瘍約120件・良性腫瘍約140件になります。そのうち嚥下・構音・形態等の機能保持を目的とした遊離皮弁移植を用いた再建術も約50件ほどになります。また悪性腫瘍に対する放射線治療も年間200件ほど行っております。頭頸部腫瘍にたずさわる関係各科との定期的なカンファレンスを通じて安全かつ確実な医療の提供を念頭に置き診療しております。鼻腔悪性腫瘍に対する経鼻内視鏡手術の応用や側頭骨悪性腫瘍(外耳道癌など)に対する耳科顕微鏡手術の応用、内視鏡科と協力して行う早期咽頭癌に対する経口的アプローチによる切除、喉頭摘出後のプロテアーゼ挿入(音声再建)など先進的な医療も積極的に行っております。

また、日本臨床腫瘍研究グループ(頭頸部がんグループ)の主要参加施設として放射線・抗がん剤併用療法の治療開発に関わる臨床試験や、手術治療に関わる臨床試験にも積極的に参加しています。研究に関しては総合医科学研究センター内の分子疫学研究室と連携しており、血清タンパクや腫瘍遺伝子などの分子生物学的情報と臨床情報を組み合わせ、疫学的手法を用いてトランスレーショナルリサーチを実施しております。近年免疫チェックポイント阻害薬で注目を浴びている癌患者の免疫状態に関連した炎症性サイトカインや、免疫担当細胞の腫瘍浸潤などを解析しております。また、抗腫瘍効果が期待されるビタミンDが癌患者の予後に与える影響等を探索しております。


口腔・咽頭・睡眠

SLEEP APNEA 班(睡眠班)

  • 睡眠呼吸障害の重症度に関与する因子の統計学的検討
  • 睡眠呼吸障害の治療における上気道疾患の治療適応の検討
  • 小児睡眠呼吸障害の重症度評価における食道内圧検査の有用性
  • 米国型睡眠呼吸障害センターにおけるn-CPAP 治療の臨床統計
  • 高周波組織減量術による睡眠呼吸障害の治療
  • ダイナミックMRI による経時的な上気道の形態変化の評価
  • 慈恵医大睡眠センターの設立

音声・嚥下

喉頭班

音声障害、嚥下障害に対する専門的な診療・研究を行っています。 専門外来では声帯ポリープなどの比較的一般的な疾患から、痙攣性発声障害などの診断・治療が難しい疾患に対しても対応が可能です。また日帰り手術も積極的に行っており、内視鏡を用いた声帯ポリープ切除や喉頭麻痺(反回神経麻痺)に対する声帯内コラーゲン注入術、痙攣性発声障害に対するボツリヌス注射等を多く施行しています。 嚥下障害に対しては外来だけでなく、他科で入院している患者さんに対する診察依頼が多く、嚥下内視鏡検査等で専門的な評価を行い、重症な嚥下障害に対しては誤嚥防止術などを検討します。


診療案内

附属病院(本院)

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